政治システム

スイスの政治体制は、連邦(ブント)、州(カントン)、地方自治体(ゲマインデ)の三層に分かれています。国民は政治に関するテーマについて投票することができます。

連邦制

スイスを作る26の州と2000以上の地方自治体は、政治的な独立性が非常に高く、これを「連邦主義」と言います。各州や各自治体はそれぞれ独自の政治構造を有しています。Basel-Stadt州には独自の憲法、政府、議会、裁判所があります。公立機関が負う任務の多くは自治体と州が管轄しているため、学校制度などは州ごとに異なります。連邦法はスイス全国に適用されますが、各州にはその州でのみ適用される独自の法律もあります。地方自治体も独自の規則を定めることができます。それぞれの任務を遂行するために、連邦、州、地方自治体は税金を徴収しています。

権力分立

少数の人や組織に政治権力が集中してはならないため、スイスの国および州では、これが立法(法を定める権限)、行政(法を実行する権限)、司法(裁判の権限)という、3つの独立した権力に分けられています。Basel-Stadt州では以下の機関がこれらの役割を果たしています。

  • 立法:議会(Grosser Rat)(100議席、4年に一度投票で選出)
  • 行政:州政府(Regierungsrat)(7議席、4年に一度投票で選出)
  • 司法:州レベルの各種裁判所(Gerichte)

Basel-Stadtには1つの特色があります。Basel-Stadt州の議会、政府、裁判所は、同時にバーゼル市も管轄しているのです。また、リーヘンとベッティンゲンの両自治体にも立法(住民議会=Einwohnerrat)と行政(自治体集会=Gemeinderat)があります。

連邦の立法議会は国民議会(下院)と全州議会(上院)の二院制(National- und Ständerat)です。連邦内閣(7議席)はブンデスラート(Bundesrat)と呼ばれています。連邦レベルにも種々の裁判所があり、例えば州の裁判所が下した判決は、最高裁判機関である連邦裁判所に上訴できます。

国民の権利

スイス国民は投票や選挙に参加でき、連邦、地方自治体、州の政治組織を選出します。また、自ら立候補することもできます。そのほか、政治案件を扱う国民投票も行われます。ここでは、地方自治体、州、連邦の各レベルの決定を住民が下すことができます(直接民主制)。また、自分で提案をし、それについて投票してもらうこともできます。それにはまずイニシアチブをスタートさせなければなりません。Basel-Stadt州に住む外国人には投票の権利も選挙の権利もありませんが、政治に関する要望があれば、請願書を当局に提出することができます。また、各種委員会や利益団体、クラブなどに参加する機会も多々設けられています。

基本的な権利

連邦憲法(Bundesverfassung)にはスイス最上の法的原理が謳われています。連邦憲法の中で最も重要な項目の一つとして、欧州人権条約(EMRK)に基づいた基本的人権が挙げられます。これにより、生きる権利や緊急時に援助を受ける権利などの人間的な生活が保障され、また個人が国家的暴力に脅かされたり、少数派グループが多数派に抑圧されたりしないように守ります。そして、何人も出自、人種、宗教、性、性的指向によって他者を差別しないように保障されてもいます。Basel-Stadt州では、人種差別の被害者は無料で支援や相談を受けることができます。スイスでは宗教、表現、報道の自由が浸透しています。