権利と義務

雇用者と被雇用者は異なる権利と義務を有します。最長勤務時間、休暇の権利、保険の保証などが法律で定められています。

雇用契約

通常、雇用契約は文書で交わされますが、口頭での契約も有効です。いずれの場合も債務法(Obligationenrecht)が適用されます。債務法には守られるべき最低の基準が規程されており、文書にされていない契約にを結んだ人もこれによってさまざまな権利と義務が保障されます。

被雇用者の権利

スイスの被雇用者はいくつかの法的権利を有します。代表的な権利には以下のものがあります。

  • 雇用者は被雇用者の社会保険および傷害保険の手配をし、その掛け金の一部を負担しなければなりません。
  • すべての被雇用者は少なくとも4週間の有給休暇をとる権利があります。時間給およびパートタイムの被雇用者にも比例計算して同じ権利が与えられます。
  • 労働時間の上限は週50時間、職種によっては45時間です。
  • 被雇用者は文書による勤務証書を受け取る権利があります。
  • 同じ会社で3ヶ月以上働く被雇用者は、病気および事故にあった場合も一定期間、給与を受ける権利があります。
  • 妊娠中の女性および産後の女性には特別な権利が与えられます(母性保護=Mutterschutz)。
  • 平等法(Gleichstellungsgesetz)では、雇用に関する性を理由とした不利な扱いを禁じています。

賃金

Basel-Stadt州の法律では最低賃金が定められています。いくつかの例外はありますが、州の就労者全員が対象となります。また、多くの産業分野で最低賃金を定めた団体労働協約(Gesamtarbeitsvertrag, GAV)が結ばれています。男女とも同じ仕事に対して同じ賃金を求める権利があります。雇用契約にはグロス賃金(控除前の基本給)が示されます。手取り賃金はそこから社会保険料が差し引かれたものです(社会保険料の天引き=Sozialabzüge)。長期滞在許可証B暫定滞在許可証Fおよび難民滞在許可証N短期滞在許可証Lおよび越境通勤許可証G保有者のほとんどは、ここからさらに源泉徴収(Quellensteuer)が直接差し引かれます 。加入が義務付けられている健康保険は、スイスでは給与所得控除の対象になっていません。

雇用契約解除の告知

雇用契約を解除する場合、雇用者と被雇用者は契約で定めている解約告知期間を守らなければなりません。猶予なしの契約の解除は特殊ケースに限ります。解約の理由は文書で求めることができます。病気、事故、妊娠中および産後の被雇用者は特にこの契約解除から保護されます。不当な解約は裁判所へ訴えることができます。自己都合の退職は失業保険の受給額に影響します。